性同一性障害の性別適合手術後の性別(戸籍)変更、または改名の届けは、住所地の家庭裁判所になります。
自分でも十分できるものです。わからなければ、直接裁判所でも詳しく説明してくれます。また、自分で自分でどうしてもできない場合は、代理で弁護士、行政書士に作成してもらうこともできます。この場合は、書類の作成費用がかかります。
ぜひ、自分で書類を作成してみましょう。当クリニックでは代理に作成することはできませんが、ポイントは説明できますますので、来院時に遠慮なく聞いてください。
改名したい場合
性同一性障害の人にとって、日常生活困るものの1つとして、名前があります。FTMにとって、あまりに女性的な名前、または、MTFであれば男性的な名前だと、仕事や日常生活に支障が生じるひとがいます。
このような場合、戸籍上の名前の変更を家庭裁判所から許可を必要とします。
名前の変更の許可を得る正当な理由が必要となります。裁判所によると、
名の変更をしないとその人の社会生活において支障を来す場合をいい、単なる個人的趣味、感情、信仰上の希望等のみでは足りない
とされています。
正当な理由があれば、一般のひとも名前を変えることもできますし、もちろん、性同一性障害のひとも名前を変えることができます。
一般的には、性同一性障害のひとは、診断書があれば事足りることが多いのですが、担当する裁判所書記官や裁判官によっては、必要に応じて過去の通称名の提出、例えば、公共料金の請求書などを提示する必要もあるようです。
また、過去には、診断書だけでなく、ホルモン治療をしていることを条件とする裁判官もいるようです。
実際に、担当した裁判官の判断によるので、場当たり的な感もあります。
東京近郊の家庭裁判所によっても、書類ですべて済む場合もありますし、裁判所に呼ばれて出向く必要がある場合もあります。
申立てする人
名前の変更をしようとする者(15歳未満のときは,その法定代理人が代理します。)
申立てする際に必要な書類
(1) 申立書
(2) 標準的な申立添付する書類
- 申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 名前の変更の理由を証する資料(☞性同一性障害の診断書が必要なので、医療機関で発行します)
提出診断書は、一般的なもので「性同一性障害」です、という1枚の診断書です。
できるだけ、診断書の原本は手元に残しておき、原本とコピーを照合してもらえれば、提出用はコピーで構いません。
※原本を提出してしまうと、その後にまた何かで必要なときまた診断書発行にお金がかかってしまいます。
許可されたあとは、どのような手続をすればよい?
戸籍に記載された名を変更するには、家庭裁判所の許可を得た後に、市区町村役場に届出をすることが必要になります。
本籍地又は住所地の役場に、審判書謄本のほか、戸籍謄本などを添えて名の変更の届出をしてください。詳しくは届出をする役場に問い合わせしてください。
性別変更する場合
条件
家庭裁判所は,性同一性障害者であって,次の1から6までの要件のいずれにも該当するひとについて,性別の取扱いの変更の審判をすることができます。
二人以上の医師により,性同一性障害であることが診断されていることになります。提出する診断書は一般的なものでなく、戸籍変更用の診断書になります。この場合、改名に使った診断書は使えません。
性別適合手術した後に、新たに別の書式の診断書の作成が必要になります。
- 20歳以上であること
- 現に婚姻をしていないこと
- 現に未成年の子がいないこと
- 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
- 他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること
申立てに必要な書類
(1) 申立書
(2) 標準的な申立添付書類
- 申立人の出生時から現在までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本(全部事項証明書)
- 所定の事項の記載のある2人以上の医師による診断書
変更審判がされたあとの戸籍の記載はどのようになる?
性別変更の審判を受けた場合に、,申立人を筆頭者とする新戸籍が編製され(戸籍が申立人単独のものである場合は新戸籍は編製されない)、父母との続柄欄が更正されます。従前の戸籍における他の兄弟等の父母との続柄欄は訂正されません。
改名の手続き、性別変更の手続きは、ご自身の管轄の家庭裁判所により違うこともありますので、直接家庭裁判所に聞いてください。