仕事に対するイメージと性別を結びつけることによって、『この仕事は男性のもの』『あの仕事に女性が従事するなんて変わっている』と言った偏った考えを持つ人は、昔に比べればずいぶんと少なくなったように思われます。

社会全体でも、たとえば『保母』が『保育士』に、『看護婦』が『看護師』に名称変更されるなど、仕事と性別を限定するような風潮は薄くなったと言えることができます。ですから、心と体の性別が一致していない性同一性障害gidの人にとっても、幾分かは仕事が選びやすい、そして働くことができやすい社会になったと言えるかもしれません。

ただしそれでも、まだまだ就労問題がつきまとうのが現実です。そしてこの就労問題は、就労前だけではなく就労後にもつきまとうものであり、そしてその問題の大きさによっては、性同一性障害gidの人が退職を余儀なくされてしまうことも決して珍しくはありません。

難しいのは、こうした問題がどれほど性同一性障害の人に対して苦痛を強いているか、あるいは困惑を強いているかと言うことが、第三者にとってはなかなか見えづらい、わかりづらい、感じづらいと言う点です。だからこそ、この難しさを解消するためには、性同一性障害gidにある本人からの申告や支援の要請などの協力も必要不可欠です。

そのためには、性同一性障害gidの人だけではなく従業員全員が声を発しやすい、風通しの良い環境であることが会社全体に求められます。