性自認に配慮した会社環境

すでに働いている性同一性障害の労働者の解雇に関しては、別の性で就業していた際に、懲戒解雇を行った会社に対しての裁判所の判例があります。

雇用者は、性同一性障害の労働者に対する理解を深め、それ相応の配慮を行う義務があるとして、懲戒解雇をすることはできないと判断をしたことがあります。

既に雇用されているGIDを解雇できる場合と、これから雇用される場合とで、会社に求められる配慮義務には大きな差があります。

裁判の判断からも、性同一性障害の労働者に対しては、会社はそれ相応の配慮義務があるのです。

性自認を理由とした従業員からの配慮の要求への対応

自認する性と異なる性として扱われる職場環境や労働条件を強いられることは、従業員にとって大きな精神的ストレスです。

会社は、そのような従業員から性自認にもとづく扱いや特別な配慮を求められた場合、どのような対応が可能か検討する必要もあるでしょう。

現実的に会社も、どのような対応するかは会社の判断に委ねられます。

職場で使う名前、職場で着用する制服、トイレの問題など他の従業員との調整が必要なことは、職場全体の環境改善の問題として時間をかけた対応をしていかなければならないかもしれません。

※MTFの場合、女性からするとトイレに入ってきたり、更衣室が一緒に着替えるなどイヤと思うひとがいるのもあるそうですが・・・。

おそらく、そのMTFのパス度によるものと考えられます。

性自認にもとづく服装や行動のみにもとづく懲戒解雇は認められない

従業員が、自らの性自認にもとづいた取り扱い、例えば、服装、トイレなどの行動をすることは、会社の秩序、業務遂行において、著しい支障を来すとは思えません。

実際に、性同一性障害の労働者が、女性の容姿で就労することを認めず、転勤命令、業務命令で女性の容姿での就労が禁止し、さらには懲戒解雇された裁判所の判断では、懲戒解雇を無効としたケースもあります。
就労に関する判例