性同一性障害(GID)、または、性別違和に対する外科的治療の開始を判断する基準は、最適な治療を促進することを目的としています。GID当事者の治療のニーズを最大限にするためには個別化されたやり方があってもよいかもしれません。できるだけ、GID当事者の意向を尊重することも大切です。
ただし、乳房/胸部手術(胸オペ)と性器手術に関する基準としては、持続した性別違和があるという事実が、精神科医または、それに準じたジェンダーに携わっている医師が書いた文書で裏づけられている必要があります。
性同一性障害の治療ガイドラインでは、女性化、男性化を促す性ホルモン療法や、性自認(ジェンダー・アイデンティティ)に一致した性役割で1年以上継続した生活経験(実生活)があることなどが、実施あるいは手術準備段階にあることなどが含まれています。
これらの治療基準の概要は、以下の通りです。
先行事例から得られたエビデンスとジェンダーに携わる医師の合意に基づきます。手術の種類・内容は、推奨される内容も異なります。
どの手術をどの順番で行なうべきかについては特定しません。手術回数や手順は、GID当事者のニーズによってそれぞれに異なるからです。
また、性同一性障害(GID)の治療に関しては、ホルモン治療、手術治療の順番は問われませんが、性別変更の際には、日本では民法の性同一性障害の特例法にもとづき性別適合手術、MTFであれば陰茎切除、睾丸摘出、FTMであれば卵巣、子宮摘出することが必須とされます。