性同一性障害gidの国内の位置づけ

性同一性障害gender identity disorder (以下GID)に関する医療は、日本国内では、1998年埼玉医大で初めての性別適合手術sex reassignment surgery(以下SRS)が行われ、それ以来、認知度が徐々に高まりつつあります。

「性同一性障害の性別の取扱いの特例に関する法律(特例法)」が平成16年7月から法律で施行され、性同一性障害GIDは、性別適合手術SRSの実施を含む一定の条件であれば、戸籍上の性別変更が可能となりました。

このため、日本精神神経学会は、「性同一性障害GIDの診断と治療のガイドライン」において、性別適合手術SRSの適応の判定を倫理委員会でなく医療チームの検討で実施できるように改変されました。また、二次性徴抑制ホルモンの実施についても、最新の第4版ガイドラインで新たに追加されました。

性同一性障害gidの治療は、精神科治療と身体的治療からなる

性同一性障害GIDの身体的治療は、ガイドラインをもとに進められることが多いのですが、あくまでもガイドラインは医療者側の治療指針であり、治療を受けるGID当事者に強要すべき規則でも法律でもありません。

ガイドラインを守らなければ、もう性別変更はできないなどと勘違いして、もうこれ以上進めないと悲観するGID当事者も多いのですが、その後の治療ができなくなるといった不利益が生じることも一切ありません。

性同一性障害GIDの治療は、生活の質(QOL)の改善、自分らしく生きるための手段であって、目的・ゴールではありません。あくまでも、人生の通過点に過ぎません。性同一性障害GID当事者の自己決定と自己責任を最大限に尊重しながら治療を進めていくものなのです。

※性同一性障害gender identity disorder (以下GID)とは、身体の性と心の性とが一致しない状態であり、心の性を身体の性に合わせる治療は不可能とされます。