性同一性障害gidのMTFの胸を触った男性が兵庫県の迷惑防止条例違反の罪に問われ、一審・神戸地裁判決を支持し男の控訴を棄却し、有罪判決が出た。(大阪高裁1月31日)

 大阪高裁の判決によると、加害者50代男性は2016年3月、神戸市内の飲食店で隣になった被害者MTFに「あなた、おっさんやないか」と発言した。さらに胸を服の上からつかんだとして起訴された。

裁判では、その男性は「触っていない」と否定し、「たとえ胸をつかんでいても、ひわいな言動とはいえず条例違反ではない」と主張していた。

 裁判所は、被害者MTFの供述は信用できるとし、今回一審判決と同じ判断をした上で、「被害者が女性の姿で生活し、性同一性障害gidと診断されている」と指摘した。「被害者の屈辱感は生来の女性と比較して遜色なく、胸をつかむ行為は下品でみだらな行為」とした。

 性同一性障害gidの問題に詳しい弁護士によると、このような案件が裁判されるのは珍しいという。裁判所が、「自分を女性と認識している被害者に寄り添い、屈辱感を認定した」という点は評価できると話した。

 性同一性障害gidの人は身体に好奇心を向けられやすく、性被害や性的な嫌がらせをされやすい。さらに、二次被害を恐れて被害を訴えないことも多いという。このような性的な犯罪を防ぐきっかけになるかもしれない。