「性同一性障害」から「性別違和」に名称が変更されたことは、病的ニュアンスが緩和されましたが、当事者が抱える精神的問題への支援がより必要とされます。

この名称変更の理由として、性同一の障害・疾患という診断名でありながら、実際に治療として行われるのはシス・ジェンダー(出生時に割り当てられて性別に違和感がない状態)に矯正することではありません。

あくまでも、自己申告されたジェンダー・アイデンティティとライフスタイルを尊重し、その典型的でないために生じている社会的機能不全を解消する手段としてホルモン治療や手術治療の医学的介入が実施されているからです。

性同一性障害への医学的関与の基本原則

  • 個々のセクシュアリティを尊重する
  • 自己決定に対して情報を与える

どのような医療を求めるのか、選択可能な医療手段を呈示する、侵襲を伴う治療にはどのような影響があり、副作用、後遺症にはどのようなものがあるのか、また、その利点があるのかを十分に説明すること

  • 合併する精神状態やその他の医学的問題に対応する

差別や孤独により、二次的にうつ状態を呈 したり対人関係上の問題を抱える場合も多いことです。

また、専門家の役割として、以下のものが挙げられます。

  • 自己のセクシュアリティを知る
  • 情報を知る
  • 多様性を受け入れる
  • 社会への啓発教育をする

医療従事者は、ひとの健康の保持・増進に 寄与する役割があります。そのため、LGBTの人々に対しても同様です。

自他のセクシュアリティに対して理解を深め、当事者に対しては有益な情報提供や治療を提供することが大切です。

また、社会における健康教育として、LGBTへの理解を促し、許容できる人間関係 づくりができるよう働きかける必要があるでしょう。