性同一性障害(GID)の人が、飲食店などの営業許可を得る場合、通称名では通常認められません。今回、京都府が飲食店などを営む際、店内に掲げる営業許可書類は、通称名の使用を認めることになりました。

 GIDで女性として暮らす府内の50代の経営者から、「ふだん使っている名前を記載したい」と相談を受け、食品衛生法の施行規則を改めた。厚生労働省は、他の自治体で営業許可などで通称名を認めた例は把握していないとしています。施行は平成29年5月12日日付。京都市以外の府内の飲食店などで適用されます。

 規則は飲食店などを営む際、営業許可証の店内掲示を義務づけ、許可証には通常、戸籍上の名前が記されます。この経営者は2012年にGIDと診断され、14年春に性別適合手術(SRS)を受けた。昨秋、「日常的に男性名が店内にさらされ、精神的な苦痛を感じる」と保健所に相談していました。

 京都府がこれらを検討し、医師の診断書で性同一性障害GIDと認められれば、営業許可証の代わりに「営業許可証明書」を発行し、そこで通称名を使えるようにしました。この経営者は「これを機に、飲食業以外で営業許可が必要な職種でも通称名が使えるようになれば、同じ生きづらさを抱えた多くの人が救われると思う」と話しています。
2017年5月26日京都新聞より