一般的に性別とは、男性と女性の2種類に分類される生物学的性別を意味していると考えがちです。しかし、性別にはその他に自分自身が自覚、認識している精神的性別があります。これをジェンダーアイデンティティ(gender identity)と言い、「性自認」、「性の自己認識」あるいは「性の自己認知」とも訳されます。
多くの人は特に意識することなく自分は男性(または女性)と思い、その性にふさわしい生活を送ろうとします。しかし、一部には自分の生まれ持った生物学的性別と精神的性別に不一致や違和感を覚える人々が存在します。これらの人々は正常な男性器(または女性性器)を持って生まれ、成長して正常に第二次性徴が現れているにもかかわらず、子供の頃から異なった性に対して一体感を持ちます。
また、生物学的性別を精神的性別に近づけたいという願望から、自らの性別を嫌悪したり、忌避したりします。 これを性同一性障害GIDと呼び、染色体やホルモンなどの検査による生物学的性、及び成育歴などによる精神的性の決定を行い、更に生物学的性と精神的性の性別違和感による診断を行います。
性同一性障害の治療には段階的に精神療法、ホルモン療法、外科的治療が進められます。 現在では性同一性障害を「障害」と考えることの反発や研究の発展から、「性同一性障害」に代わり、新たに「性別違和」が使用されるようになっています。