性同一性障害gidとは、自ら生まれ持った性別に対してなじめない状態を指す言葉です。こうした症状を持つ人は古来からいましたが、もっぱら変わり者とみられ、精神異常者とみなされることも少なからずありました。
近世に至って性転換の技術が開発され、1952年に性転換手術に成功したクリスティーン・ジョーゲンセンを皮切りに、多くの人が手術を行ってきました。性同一性障害gidという語は医学用語としても採用されており、アメリカの診断基準となるDSMにおいては、1980年に公開されたDSM-3において性同一性障害の病名および診断基準が記載されています。
診断名がつくようになったことでこの症状はより広く世に知られるようになり、専門の病院で治療を受ける人が増えました。 2013年にDSM-5が発表され、性同一性障害gidという呼称は性別違和という名称に変更となりました。
日本においても英語に準じて訳語をあてた形であり、性別違和という疾患が新たに別の疾患として発表されたわけではありません。症状の当事者をはじめ各分野においては、この呼称変更は賛否両論を呼んでいます。障害という語を使わないことで当事者に配慮しているという評価の声がある一方、本人が抱える切迫感を軽視し、治療の遅れにつながるとする声もあります。