FTMの男性ホルモン治療の目指すものは主に2つです。

  • 1つ目は、より典型的な男性の二次性徴のようにすること
  • 2つ目は、女性の二次性徴の特徴を消すことです

これを遂行するには、男性ホルモンの力が必要です。一般的には、男性と同じような男性のホルモンと女性ホルモンの濃度に近くすることです。

生まれたときに割り当てられた女性的特徴は消され、男性として認識されるでしょう。FTMにとっては、副作用の点からマイルドな男性化は、完全な男性化よりより望ましい場合もあります。

医療者は、男性ホルモン治療する前に、そのFTM当事者のゴールを明確にしておかないといけません。
男性ホルモン治療をする上で、副作用を最小限に抑えて、かつ男性化を並行して行うことが大切です。
合併症を伴ったFTMに関しては、ホルモン治療を避けなければいけないこともあります。

ホルモン投与により健康を損ねるような症状、病気があります。それは、骨が弱くなる骨粗鬆症、心臓血管疾患、メタボリック障害、多血症、肝機能障害、女性に関したがんなどです。

また、男性ホルモンの血中濃度は適度に保つ必要があります。一般的には320 から1000ng/dLです。

ホルモンの高い血中濃度が続くことは、副作用のリスクを生じやすくなります。もっとも多いのが多血症、そして血栓症です。反対に低すぎると、とくに卵巣切除している場合は性腺機能不全になるかもしれません。

黄体ホルモン濃度が正常であると、男性ホルモン濃度が適切であると指摘されています。しかしながら、黄体ホルモン濃度を常にチェックすることはあまりされません。

医師の処方なしに、例えば海外からホルモンを購入することもできますが、ホルモン治療の監視ができないために健康を損ねるなどする可能性があるので避けた方がよいでしょう。

男性ホルモン治療を始める際には、生殖機能を温存するかというオプションに関しても考えておいた方がよいかもしれません。

海外では、実際に妊娠できたというFTMもいますが、男性ホルモン治療を始めることにより、将来不妊になるかどうかは今のところ明らかにはわかっていません。